白衣からスクラブへ変わったナース服の歴史

医療機関に行けば、必ずお世話になるのが看護師です。ナース服に憧れて、看護師を目指す人も多いのではないでしょうか。定番の白に加えて、最近はカラフルなナース服も増えてきました。では、なぜ白衣は現在の色、デザインになったのでしょうか。白衣の歴史の始まりは、中世のヨーロッパにあります。中世は宗教色が強かったため、看護師も尼僧のような長い服を着ていました。それをガラリと変えたのが、19世紀後半に現れたイギリスのナイチンゲールです。ナイチンゲールは、世界初の宗教系ではない看護学校を創設しました。そして、看護師の制服を茶色の長袖のワンピースと袖なしの白いエプロン、そして帽子をかぶるようになります。このスタイルが、ナース服のベースです。

日本では1937年、戦場に向かう日本赤十字社の看護救護員がワンピースタイプの白衣を着用しました。当初は綿の白衣のみでしたが、やがてポリエステルや抗菌性のある高機能素材が使われるようになりました。また、男性看護師の増加に伴い、動きやすいパンツタイプが採用されるようになったのです。1990年代に入ると、上下に分かれたスクラブと呼ばれる手術着を、男女とも同じユニフォームとする現場が増えてきました。カラフルでファッション性も高いため、小児科では優しいサーモンピンク、外科ではネイビーというようにカラーを分けて使用している現場もあります。このように長い時をかけて、ナース服の歴史は変化を続けてきました。